12月24日(月)晴れ
源頼朝伝説「矢立松」を見てきました
源頼朝伝説「矢立松」を見てきました
NHK大河ドラマ「平清盛」が昨夜で終わった。
「平清盛」といえば「源頼朝」。
源平の合戦、「石橋の山の戦」で頼朝が大敗し千葉県に逃れて来た、という歴史がある。
そのため千葉県には源頼朝伝説が各地に伝わっている。
ここ夷隅地方は、大河ドラマにも登場した上総介広常という豪族の館があったということから、頼朝伝説が多い。
隣町いすみ市矢指戸に建つ「矢立松」の碑を見に行く。
以前から、この碑があることは知っていたが見たことはない。
矢指戸地区に入ると、バイクに乗ったお爺さんに遭う。
「すみません、この写真にある『矢立松(やたてまつ)』という碑の建つ所をご存じですか」
「ああ、知ってはいるけど、今は道があるかな・・・おそらく藪だ」
「行けないですか」
「ああ、行けないことはないが大変だぞ」
「歩くことは覚悟してきますので」
「しばらく行くと神社だ。その神社の階段を上りきった右に、神社の裏山に通じる径があるのだが、今はだれも通らないから、径があるかどうか・・・。途中藪だぞ・・・」
「ありがとうございました」

「平清盛」といえば「源頼朝」。
源平の合戦、「石橋の山の戦」で頼朝が大敗し千葉県に逃れて来た、という歴史がある。
そのため千葉県には源頼朝伝説が各地に伝わっている。
ここ夷隅地方は、大河ドラマにも登場した上総介広常という豪族の館があったということから、頼朝伝説が多い。
隣町いすみ市矢指戸に建つ「矢立松」の碑を見に行く。
以前から、この碑があることは知っていたが見たことはない。
矢指戸地区に入ると、バイクに乗ったお爺さんに遭う。
「すみません、この写真にある『矢立松(やたてまつ)』という碑の建つ所をご存じですか」
「ああ、知ってはいるけど、今は道があるかな・・・おそらく藪だ」
「行けないですか」
「ああ、行けないことはないが大変だぞ」
「歩くことは覚悟してきますので」
「しばらく行くと神社だ。その神社の階段を上りきった右に、神社の裏山に通じる径があるのだが、今はだれも通らないから、径があるかどうか・・・。途中藪だぞ・・・」
「ありがとうございました」

車を走らせると、間もなく人家が見えてきた。
道が狭くななったので、車を止めて歩くと3分ほどで神社が右手に見えた。
神社の石段を上る。
ふり返ると海が見える。
道路の両脇に、屋根が重なり合う民家が続き、道は海につながっている。
絵に出てくるような温かい漁師町だ。
お爺さんに言われた通り、石段を登りきると神社。
神社の右はフェンス。フェンスの下は崖。フェンスに沿って人の通った跡がわずかに残る。
この径だな、と登ると間もなく、バイクのお爺さんが言った通り、竹藪になって径が消えた。
でも、藪の中を登ること10分。
竹藪が広がる平らな地に出ると、碑があった。
早速、カメラを出してシャッターを切ろうとしたが、竹の葉で碑の文字が隠れてしまう。
足で碑の側の竹を倒して、シャッターを切る。
目的はこの碑を撮るだけなので、すぐに引き返す。
道が狭くななったので、車を止めて歩くと3分ほどで神社が右手に見えた。
神社の石段を上る。
ふり返ると海が見える。
道路の両脇に、屋根が重なり合う民家が続き、道は海につながっている。
絵に出てくるような温かい漁師町だ。
お爺さんに言われた通り、石段を登りきると神社。
神社の右はフェンス。フェンスの下は崖。フェンスに沿って人の通った跡がわずかに残る。
この径だな、と登ると間もなく、バイクのお爺さんが言った通り、竹藪になって径が消えた。
でも、藪の中を登ること10分。
竹藪が広がる平らな地に出ると、碑があった。
早速、カメラを出してシャッターを切ろうとしたが、竹の葉で碑の文字が隠れてしまう。
足で碑の側の竹を倒して、シャッターを切る。

目的はこの碑を撮るだけなので、すぐに引き返す。
登って来た径がわからなくなった。
とにかく、下を目指して下りればいいだろう。
急な斜面なので何度も転びそうになるが、枝につかまって、かろうじて難をのがれる。
神社には出ないで、他の場所に出てしまった。
とにかく、下を目指して下りればいいだろう。
急な斜面なので何度も転びそうになるが、枝につかまって、かろうじて難をのがれる。
神社には出ないで、他の場所に出てしまった。
もう一度神社に引き返すと、人の姿。
「こんにちわ」
「何しているんですか?」
「矢立松に行ってきたんです」
「行けた?」
「藪でしたが行けましたよ」
「矢立松か、おれの子どもの頃はよく矢立松で遊んだもんだ」
「ええ、子どものころに松まだあったんですか」
「枯れかけていたが、スゴイ松だったよ。高さはそんなになかたが枝を広げて・・・」
「子どもの遊び場だったんですか」
「松の上に上って遊んだもんだよ。・・・松が残っているよ、しめ縄されて残っているよ」
「ええ、残っているんですか」
「この階段の上の神社の脇にあるよ」
「おれの子どもの頃だから70年前だ」
「おいくつなんですか」
「75歳だ」
先頭になって階段を上ってくださった。
「ここだよ、太い立派な松だったよ」
朽ち果てた松の幹にしめ縄がされている。
神として大事にされていることが理解できた。
「戦争の時には、こうして松の木をちぎって、お守りに入れて戦争に行ったらしいよ」
「ええ、やっぱりここの人達にとっては、矢立松は神様だったんだ?」
「そうだな。ふる里の神社はやっぱり一番のよりどころだったんだろうな。・・・戦争の時は、この松からヤニを採ったもんだ。ほかにも松がたくさんあって木に傷つけて松ヤニ採りをしたよ。松はみんな伐ってしまったな」
「こんにちわ」
「何しているんですか?」
「矢立松に行ってきたんです」
「行けた?」
「藪でしたが行けましたよ」
「矢立松か、おれの子どもの頃はよく矢立松で遊んだもんだ」
「ええ、子どものころに松まだあったんですか」
「枯れかけていたが、スゴイ松だったよ。高さはそんなになかたが枝を広げて・・・」
「子どもの遊び場だったんですか」
「松の上に上って遊んだもんだよ。・・・松が残っているよ、しめ縄されて残っているよ」
「ええ、残っているんですか」
「この階段の上の神社の脇にあるよ」
「おれの子どもの頃だから70年前だ」
「おいくつなんですか」
「75歳だ」
先頭になって階段を上ってくださった。
「ここだよ、太い立派な松だったよ」
朽ち果てた松の幹にしめ縄がされている。
神として大事にされていることが理解できた。
「戦争の時には、こうして松の木をちぎって、お守りに入れて戦争に行ったらしいよ」
「ええ、やっぱりここの人達にとっては、矢立松は神様だったんだ?」

「そうだな。ふる里の神社はやっぱり一番のよりどころだったんだろうな。・・・戦争の時は、この松からヤニを採ったもんだ。ほかにも松がたくさんあって木に傷つけて松ヤニ採りをしたよ。松はみんな伐ってしまったな」
この松の木と頼朝との関係はこんな伝説が語られている。
九十九里浜と頼朝と矢立松
頼朝軍が太東崎にさしかかりました。
黒潮洗う浜が、青い空の下にどこまでも続いています。
「美しい景観だのう・・・」
「いったい、この浜辺はどのくらいの道のりでござる」
「は、はい。いまだに誰も計ったことがありませんので、いかほどの道のりかわかりません」
「わからぬのか。こんな美しい浜が・・・」
「そうじゃ、わしが計ってつかわそう」
「殿、地のはての見えないこの浜をどうしてお計りになられるのですか」
「ああ、たやすいことよ。このようにして計っていけばいいのだ」
頼朝は弓矢をとりだしました。
「一里(約六〇〇メートル)ごとに矢を立てけば、計れよう」
頼朝は家来に一里ごとに弓矢を立てていくように命じました。ちょうど、浜のつきた時には、十九本の弓矢が立ちました。こんなわけで、九十九里浜という地名が命名されました。
九十九里浜のほぼ中央、蓮沼村の神社にこのとき使った弓矢を奉納しました。それで、この神社は『矢指神社』と呼ばれるようになりました。
また、いすみ市大原の太平洋側に「矢指戸」という地区があります。頼朝が蓮沼村の浜から六町ごとに弓矢をさして行き、ちょうどこの地で一〇〇本をさし終えました。そこで、この地は「矢指止」と命名されましたが、いつしか「矢指止」から「矢指戸」になりました。
土地の人は後に、後にこの話を語り伝えるために、矢指戸山の頂に松を植えました。これが「矢立松」なのです。
九十九里浜と頼朝と矢立松
頼朝軍が太東崎にさしかかりました。
黒潮洗う浜が、青い空の下にどこまでも続いています。
「美しい景観だのう・・・」
「いったい、この浜辺はどのくらいの道のりでござる」
「は、はい。いまだに誰も計ったことがありませんので、いかほどの道のりかわかりません」
「わからぬのか。こんな美しい浜が・・・」
「そうじゃ、わしが計ってつかわそう」
「殿、地のはての見えないこの浜をどうしてお計りになられるのですか」
「ああ、たやすいことよ。このようにして計っていけばいいのだ」
頼朝は弓矢をとりだしました。
「一里(約六〇〇メートル)ごとに矢を立てけば、計れよう」
頼朝は家来に一里ごとに弓矢を立てていくように命じました。ちょうど、浜のつきた時には、十九本の弓矢が立ちました。こんなわけで、九十九里浜という地名が命名されました。
九十九里浜のほぼ中央、蓮沼村の神社にこのとき使った弓矢を奉納しました。それで、この神社は『矢指神社』と呼ばれるようになりました。
また、いすみ市大原の太平洋側に「矢指戸」という地区があります。頼朝が蓮沼村の浜から六町ごとに弓矢をさして行き、ちょうどこの地で一〇〇本をさし終えました。そこで、この地は「矢指止」と命名されましたが、いつしか「矢指止」から「矢指戸」になりました。
土地の人は後に、後にこの話を語り伝えるために、矢指戸山の頂に松を植えました。これが「矢立松」なのです。
おしまい
地名伝説です。途中128号線から矢指戸入口に、古い石の標識があった。
地名伝説です。途中128号線から矢指戸入口に、古い石の標識があった。
そこには「矢差戸」と刻まれていた。
「矢指止」「矢差戸」「矢指戸」、時代により変化してきたのだろう。
これは歴史ではない、伝承・伝説だ。
地域の人が心の拠り所としてきた、そのことに意味があるのだ。
楽しい時間だった。
お話しをしてくださった、山口さんありがとうございました。
これは歴史ではない、伝承・伝説だ。
地域の人が心の拠り所としてきた、そのことに意味があるのだ。
楽しい時間だった。
お話しをしてくださった、山口さんありがとうございました。