7月24日(木)曇り
   秘湯の旅~乳頭温泉~ その1
4回目となる秘湯旅「乳頭温泉郷」の旅を整理をしました。
旅が一過性の旅行で終わることがないように、少し詳細な記録に残したいと思います。

上総一ノ宮駅午前7時17分「旅の祈願」
 各会員は最寄りの駅から乗車し、午前7時17分発上総一ノ宮駅発快速列車に集合。会員は8名であるが、今回は1名欠席の7名。グリーン車に乗り込むとすでに座席は向かい合わせにセットされている。荷物を棚に上げ座る。まずはいつもの儀式。旅の安全を祈願してビールで乾杯。でも1名はコーヒー、酒が飲めないのではない。M氏は今回、田沢湖駅に着いたらレンタカーの運転係になっているのだ。
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 東京着8時45分、通勤で混雑する時間帯。足早の通勤者にぶつかりそうになりながら、新幹線乗り場へ急ぐ。東京駅9時08分こまち9号出発。ここでも座席を向かい合わせにし、車内販売で好きな飲み物を注文する。T氏が梅酒と梅ジュースを持参。私は梅ジュースをいただく。
「うめー、胃がスッキリする。梅と砂糖だけ・・・」
「いや梅と蜂蜜と酢を入れて・・・」
美味いはずだ、蜂蜜を入れてあるという。
「奥さんが造るの」
「ちがうよ俺が造くるんだ。梅酒もジュースも・・・」
「うそー」
「家のは飲むだけだよ・・・」
梅酒もジュースも彼が造った3年物だという。
人は見かけによらないとはこのことだ。豪快な彼が梅酒やジュースを造るという。一つ一つ梅を吟味しビンに入れ造る場面を想像したら、苦笑するしかない。(ごめんなさい)
酒は「秀(ひで)よし」
 田沢湖駅着11時59分。ガラス張りの近代的な駅舎。
「なんだか田沢湖駅に似合わないねえ」
「東北の自然や文化など考えて建設したのか・・・不思議な建物・・・」
はるばる北国秋田に来たのに、土地に合った駅舎の設計はできないかと全国一律を嘆く。こうして現状を批判したり嘆くのは、定年おっさん達の特権というか癖だ。
 昼食場所を探す。
「美味しいお店どこですかねー、お姉さんおすすめのお店は」
「ああ、どこも美味しいですよ」
「お姉さんが食べるとしたらどこにする」
「わたしですか、みなさんのお好みもありますし・・・」
女性の駅従業員も困っているが、笑顔で応対してくれる。
駅前の「そば五郎」という蕎麦屋さんへ。全員天ぷら蕎麦を注文。ソバが出る前にまた旅の安全を祈願してビールで「乾杯」。
 みやげ物屋も兼ねている。地酒コーナーに惹かれる輩も。
「どれが人気ですか」
「・・・秀よし、ですかねえ」
「秀吉・・・秋田と秀吉?」
後で聞くと「秀(ひい)でて良い」、つまり「秀よし」だという。なるほど、納得。豊臣秀吉とは無関係であった。
鶴の湯、お湯の入れ替え 
 7人乗りのワゴン車、M氏の運転で出発。まず乳頭温泉を代表する「鶴の湯温泉」に。アスファルトが途切れて砂利の細道になる。
「おお、秘湯に近づいている」
「秘湯はこれじゃなくては・・・」
とブナ林の道を揺られながら進む。
5月の連休に来たというW氏が
「ミズバショウの群生地が間もなくだ。秋田駒ヶ岳が見えるのだが・・・」と解説してくれる。
あいにくミズバショウの季節は終わり、大きな葉だけがミズバショウの群生地を証明していた。このあたりの最高峰秋田駒ヶ岳は雲がかかって望めなかった。(残念)
 突然、満杯の駐車場が目の前に。鶴の湯温泉到着。テレビで見た光景だ。股旅姿の木枯し紋次郎が出てきそうな古い宿が道の両わきに並ぶ。
 今日は露天風呂浴槽を掃除したばかりで、まだ6割までしか湯がはいっていない。
「お湯がきれいですよ。座れば胸あたりまでの湯量です。よかったら入浴しても良いですよ」
と言ってくれたが、断念。明日再度来ることにして、次の黒湯温泉をめざす。
黒湯温泉
  団体客で混でいる。埼玉県から来たという60代後半の男性と同湯。温泉を巡って旅する60代後半の温泉マニア。
「今まで行かれた温泉で一番良かった温泉はどこですか」
「一番ですか。・・・難しいねえ・・・良いところいっぱいあるので・・・」
「そこを、あえて一つ選ぶとしたら」
「・・・カミカワ温泉なあー」
「カミカワ?」
聞き慣れない温泉名に聞き返した。
「埼玉県にある温泉だが、ここは良い温泉だ・・・」
東北や群馬や栃木ではなく、それも埼玉県だという。
「次はどこですかねえ」
「そうだなあ、酸ヶ湯温泉もいいなあ。でもカミカワ温泉が一番だ」
やけにカミカワ温泉をもちあげる。
「最寄りの駅は?」
「あれは八高線の駅だ。絶対おすすめだ」
旅から帰ってもこのカミカワ温泉が気になって仕方なかった。インターネット「埼玉県かみかわ温泉」で検索した。ありました、ありました。八高線が通っていました。写真で見る限りこの黒湯とは対照的な近代的な温泉でした。一度訪ねなくてはいけません。温泉マニアに日本一と言わせるの温泉を。
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孫六温泉
 黒湯から人一人、やっ通れる山道を5分下る。川に出る。川の対岸に黒い木造の家屋が点々としている。木造の橋を渡り、一番大きな家屋へ。「湯めぐり帖」を提示してスタンプをもらう。事前に「湯めぐり帖 乳頭温泉郷」というスタンプ帳を購入しているので、これが入湯券。
 乳頭温泉郷7箇所がこの「湯めぐり帖」で回れるのだ。ハガキの大きさで一湯一枚の7枚つづり。宛名を書く表下には温泉の写真と泉質・効能と温泉案内。裏には入湯する宿のスタンプが押印される。切手をはれば郵便葉書にもなる。この夢「めぐり帖」は1500円。温泉の入湯料は500円から550円。7湯全部めぐればお得お得。旅好きなM氏とW氏が下調べをして購入してくれたのである。おかげで私など毎回ただついて行けば良い「社長旅」である。
 入湯客はわれわれ7名。湯治場の面影を残す小屋を通って、透き通るきれいな露天温泉に。黒い板塀の小屋があちこちに点在する。隣の小屋をのぞくと配管が折れ、浴槽も凹んだ岩だけとなっている。冬の雪害だろうか、客が少なくなって未改修なのだろうか。
 「孫六」、なんと風情ある名前ではないか。この辺鄙な地に初めて小屋を建てた人の名前だろうと、連想した。しかし、その予感は違っていた。旅行後にパンフレットを読んだら、次のように温泉の歴史がつづられていた。「孫六温泉の誕生、それは開祖・田口久吉翁の思いから始まっています。・・・(略)明治39年5月より浴槽の設置と客室の建築を行い・・・(略)」最後まで読んでも「孫六」には触れられていなかった。
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蟹場温泉
  玄関に「秘湯の宿蟹湯温泉」の提灯。その下に大理石と思われる光沢の石で造られた蟹が鎮座していた。受付で「湯めぐり帖」にスタンプを押してもらって、さあ浴槽へと思いきや、サンダルに履き替えてまた外へ。ブナ、カエデの林をぬけると沢の流れ。沢のほとりに露天風呂。緑の葉に太陽が輝いている。先客が5・6人入浴中。
 着替え小屋は男用、女用と二つに分かれている。裸になって浴槽へ。浴槽は一つのみ。そう、混浴なのだ。残念ながらと言おうか、予想通りとい言うか入浴客は男性のみ。首まで浸かって浴槽の縁の岩に頭をもたれて、ボンヤリと陽に光る緑のカエデを眺める。
「痛い、痛い・・・」
タオルを振り回す輩(やから)。アブがいる。夏だ。昔むかし、ふるさと会津の川で水浴びや魚捕りをしていると、よくアブに刺されたことを思い出した。昼間の露天風呂は贅沢感いっぱいで優雅であるが、アブがいただけない。顔の周りをブンブン飛び回る。癒されていた気分もタオルを振ったり、「止まったぞ」とばかりに叩くしぐさは現実にもどされる。まして刺されもすれば、優雅さも癒しも吹き飛んでしまう。
 蟹場の由来は付近の沢に蟹が多く住むことから名つけられたという。蟹は「かに」ではなく「がに」と発音し「がにば温泉」と呼ぶ。
 
  ああ、疲れました。パソコン打ち疲れました。続きは後日またパソコン打ちします。急がずに、少し詳しい旅の作文にしたいと思います。