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「神様が見ているよ」

♪ 雨降りお月さん 雲の蔭
お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
ひとりで傘 さしてゆく
傘ないときゃ 誰とゆく
シャラシャラ シャンシャン 鈴付けた
お馬にゆられて 濡れてゆく
♪雨降りお月さん 雲の蔭
お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
ひとりで傘 さしてゆく
傘ないときゃ 誰とゆく
シャラシャラ シャンシャン 鈴付けた
お馬にゆられて 濡れてゆく
磯原尋常高等小学校を卒業すると、15歳で上京し、東京教学院中学、順天中学、東京専門学校高等科文学科(早稲田大学文学部)に通学しますが、明治35年5月17日の20歳のときに東京専門学校を中退し、詩を雑誌に投稿し始めました。しかし父の死去により、磯原に呼び戻され、明治37年1月29日野口家の戸主となりました。22歳の時でした。
磯原に帰り家督を継承すると、父が生きている頃から話題に上がっていた花嫁の候補者高塩ヒロと22歳の秋に式を挙げました。その時に出来た歌が、「雨降りお月さん」です。
雨情夫人ヒロの興入れの日は朝から雨が降っていました。当時この地方のしきたりでは、花嫁は馬に乗って婚家に嫁ぎ、花婿や村人たちは家の前で行列を迎えました。ヒロもしきたりに従って、馬に乗って野口家に嫁ぎました。ヒロは栃木県塩谷郡喜連川から雨の中を、馬で2日もかかって来たということです
迎えた雨情は、白無垢姿の花嫁の濡れた綿帽子を心優しくはずしました。これが2人の初めての対面でした。新しい生活への希望に満ちて、凛として馬に乗って嫁いできたお嫁さんに対し、雨のなか遠い道のりを濡れながらやってきたことをねぎらって歌っています。